軽自動車税 引き上げ求める報告書

参照元 軽自動車税 引き上げ求める報告書

自動車関連税制の見直しを進めている総務省の検討会は、自動車税軽自動車税について、車の燃費性能などに応じて初年度の税額を変える新たな課税の仕組みを導入することや、軽自動車にかかる税金を引き上げることなどを求める報告書をまとめました。

総務省の有識者検討会では、再来年10月に消費税率が10%に引き上げられる段階で、地方税の「自動車取得税」が廃止されるのに合わせて自動車関連税制の見直しを進めていて、31日の会合で報告書をまとめました。
それによりますと、現状では主に排気量で決まっている自動車税軽自動車税の税額について、車の燃費性能や取得額に応じて初年度の税額を変える新たな課税の仕組みを導入することが望ましいとしています。
また軽自動車の性能が上がり小型自動車との差が縮まっているなかで、排気量1000CC未満のクラスの自動車税が年2万9500円なのに対し、軽自動車の税額は7200円と、2万円以上の格差があるのはバランスを欠いているなどとして、軽自動車税の引き上げを検討すべきとしています。
総務省は、検討会の報告書を踏まえて今後、来年度の税制改正に向けた具体的な制度設計を進め、与党側に示すことにしています。

ダイハツ工業社長「過重な税負担に反対」

31日の決算会見でダイハツ工業の三井正則社長は、軽自動車税の税率を引き上げる議論が進められていることについて、「軽自動車の規格の中で少しでも機能を上げてお客さんに喜んでもらおうと努力をしてきた。性能が登録車に近づいてきたのはその現れであって、性能が登録車並みになったので税金も上げるという意見はいかがなものか」と述べました。
そのうえで「日本は狭い道路が多く、公共交通機関も減るなかで、買い物や病院への通院のためにどうしても軽自動車が必要だというお客さんがたくさんいる。そういう方々に対して過重な税負担をかけるという考え方には反対だ」と強調しました。

今なぜ?自動車税制見直し

自動車関連税制の見直しは、去年8月に成立した「消費税率引き上げ法」に、負担軽減などの観点から自動車関連税制の見直しを行う規定が盛り込まれたことから具体的な検討が始まりました。
自動車や住宅などの高額な商品は、消費税率の引き上げによる影響が大きいとされたためです。
自民・公明両党がことし1月にまとめた今年度の税制改正大綱には、地方税の「自動車取得税」を、消費税率が8%になる時点でいったん引き下げ、消費税率が10%になる時点で廃止することが盛り込まれました。
そして、廃止に伴って生じる年間およそ1900億円の地方の税収不足は、「地方財政へは影響を及ぼさない」として、代わりの財源で穴埋めをすることが明記されました。
このため総務省地方財政審議会はことし5月、有識者の検討会を設置し、自動車取得税を廃止したあとの自動車関連税制の在り方や、廃止に伴う地方税の穴埋めをどうするか、半年間にわたって議論を重ねてきました。
自動車関連税制の見直しについて自動車業界からは、「本来の目的は、消費税率の引き上げに伴う、消費者の負担軽減だ」などとして、自動車取得税の廃止に伴う税収不足は、自動車に関わる税以外で確保すべきだという意見が出ています。
また、軽自動車税の引き上げには、「比較的所得の低い人たちも利用するので、影響が大きい」などといった反発も出始めていています。一方、全国知事会などの地方6団体は、代替の財源を具体的に示して、地方の安定的な財源を確保するよう求めています。
自動車関連税制の見直しは、年末に行われる来年度の税制改正に向けた政府・与党内の議論の焦点の1つになりそうです。