首相 消費増税は景気動向見極めて判断

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安倍総理大臣は、参議院予算委員会の集中審議で、消費税率の10%への引き上げについて、社会保障制度の維持を目的に必要な法律を成立させたと説明する一方で、来年10月に予定どおり引き上げるかどうかは7月から9月のGDP=国内総生産などを踏まえ景気の動向をよく見極めて判断する考えを重ねて示しました。

この中で、来年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げについて、参議院の会派「新党改革無所属の会」の平野元復興大臣は、「予定どおり10%への引き上げを12月で決断していただくのが大事だ。日銀の追加の金融緩和は、ある意味では景気浮揚対策であり、日本の財政運営をどうすべきかという判断は、ぜひやっていただきたい」と質問しました。
また、社民党の吉田党首は、「日銀が追加の金融緩和を行い、確かに株価は上がったが、急激な円安が国民生活を直撃しているし、中小企業の経営も大変、厳しくなっている。とても来年10月に消費税率を10%に上げる環境にはない」と指摘しました。
こうした指摘に対し、安倍総理大臣は、「消費税率の引き上げは、年金、医療、介護など社会保障制度をしっかりと次世代に引き継ぎ、子育て支援を拡充するために、野党ではあったが、当時の民主党公明党と共に法案に賛成した。しかし、引き上げは、景気の状況などをよくみていく必要があり、今後、7月から9月の景気動向や成長率がどうなったかをよく見定めて判断していきたい。今の段階で引き上げの廃止は考えていない」と述べました。
消費税率の引き上げに関連して、みんなの党の松沢国民運動委員長は、「総理大臣の諮問機関である政府税制調査会に、『消費税率引き上げ時にゴルフ場利用税は廃止する』と検討させてほしい。小さな税制改革ができずに、大きな消費税増税法人税減税は簡単にできない」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は、「ゴルフ場の料金は、私の地元ではだいたい食事もついて8000円ぐらいで、その中でゴルフ場利用税の比率が高くなっているのは事実であり、総務大臣ともよく相談しながら検討していきたい」と述べました。
また、麻生副総理兼財務大臣は、「仮に消費税率が来年10月から上がるということになれば、地方税も収入が増えるので、1つのタイミングとしてはいいタイミングかなという感じがするが、所管は総務省だ」と述べました。
円安が進んでいることに関連して、民主党の櫻井前政策調査会長は、「中小企業が苦しんでいるのは原材料費が上がっているからだ。株価が上がり、資産が上がったと言うが、ドル側から見れば日本の資産価値は下がっている」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は、「安倍政権になってから為替が円安方向に動くなかで、企業の海外投資比率の急増傾向は食い止められ、輸出の減少方向も止まった。投資環境がよくなっていくなかで、『日本で製造現場を作ろう』と判断するところが増えていけば、雇用の場所も増え、賃金にも跳ね返る」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は、「円安局面には円安局面の課題があり、きちんと応えていく必要はある」と述べ、必要な対策を講じていく考えを示しました。
「女性が輝く社会」の実現を巡って、公明党の長沢参議院国会対策委員長は、「女性の働き方の選択肢を広げ、一人一人の状況に応じて柔軟な働き方ができる、安心して暮らしていける社会を目指したものだと理解しているが、どういう考えでまとめたのか」と質問しました。
これに対し、安倍総理大臣は、「ライフステージに応じ柔軟な働き方を選択できるよう、子育てと仕事の両立のための環境整備を進めるほか、女性の再就職や起業も積極的に支援し、選択肢を広げていく。政府が1つの方向に誘導していくのは誤りで、それぞれの人生で、『こういうことに取り組みたい、達成したい』ということが、より可能になる社会を作っていきたい」と述べました。
北朝鮮による拉致被害者らの調査を巡り、ピョンヤンで行われた日本と北朝鮮の協議について、維新の党の小野幹事長代理は、「先方のペースに乗せられないように具体的な成果を得る確証を得て訪朝を決めるべきだという意見があったが、拉致被害者の安否情報や特定失踪者の新たな消息情報など具体的な成果を上げることができたのか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は、「日本から代表団を訪朝させるうえで、先方のペースにはまるかもしれないという危惧があったことは十分に承知しているが、北朝鮮側から、過去の調査結果にこだわることなく、新しい角度から調査を深めていくことや、特殊機関に対しても徹底的に調査を行うという説明があった。その意味においては、派遣した意味はあったと認識している」と述べました。
沖縄の基地負担の軽減について、自民党の岡田参議院副幹事長は、「空中給油機KC130の部隊が山口県岩国基地に移転したことは、周辺住民の方々に肌で感じていただける負担軽減の成果だ」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は、「負担軽減は、政府と沖縄の皆様、交渉相手であるアメリカ軍と共にしっかりと進めていく必要がある」と述べたうえで、普天間基地名護市辺野古への移設計画について、「負担軽減に十分に資するものだ。今後とも、『できることはすべて行う』という考え方のもと、全力で負担軽減を進めていく決意だ」と述べました。
特定秘密保護法を巡り、共産党の仁比参議院国会対策副委員長は、「『保全監視委員会』は、総理大臣が指定した秘密を総理大臣自身がチェックするときに仲間うちで補佐するものだ。『独立公文書管理監』は、総理大臣が指定した秘密を総理大臣が任命した人がチェックすることになる。これで重層的なチェックと言えるのか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は、「形式上は、確かに私が秘密を指定するという形式になっているが、実際は、NSC=国家安全保障会議で、秘密にしようという指定がなされる。そして、選挙によって政権は交代するわけで、のちの政権によって十分にチェックされるというのが民主主義の機能ではないかと思う」と述べました。
一方、山谷防災担当大臣は、御嶽山の噴火に関連して、「被災者の家族が多数、待機することになり、地元自治体で、宿泊可能な待機所の開設や、食事・毛布の提供などを行った。災害救助法は被災者の家族に対する支援は対象にならないが、どのような対応ができるか関係省庁とよく相談していきたい」と述べました。