中韓関係改善「重層的な対話で」 首相が意欲

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国会は、衆議院本会議で安倍総理大臣の所信表明演説に対する2日目の代表質問が行われ、安倍総理大臣は、中国や韓国との関係改善に向けて「政府・与党が連携し、重層的な対話を促進していくことが重要だ」と述べ、国際会議の機会を活用して両国との首脳会談を実現することに重ねて意欲を示しました。

この中で公明党の井上幹事長は、「日中関係は、経済協力分野をはじめ関係改善に向けた対話の機運が高まっており、偶発的な軍事衝突を避けるための『海上連絡メカニズム』の設置に向けた協議の再開が合意されたのは前進だ。来年、国交正常化から50年を迎える日韓関係を含め、両国との関係改善にどう取り組むのか」とただしました。
これに対し安倍総理大臣は、「隣国どうしであるが故にさまざまな課題が生じるが、課題があるからこそ、前提条件を付けずに対話すべきだ。中国、韓国との関係改善に向け、お互いに努力を重ねていくうえで、政府・与党が連携し、あらゆるチャンネルを生かした重層的な対話を促進していくことが重要だ」と述べ、国際会議の機会を活用して両国との首脳会談を実現することに重ねて意欲を示しました。
また、安倍総理大臣は、御嶽山の噴火に関連して「今回の経験を踏まえ、今後、火山活動の監視を強化するなど、防災対策にスピード感を持って取り組んでいく」と述べました。
次世代の党の平沼党首は、いわゆる従軍慰安婦の問題を巡り、謝罪と反省を示した河野官房長官談話について「強制性を客観的に裏付ける証拠がないまま河野談話が公表されたことが明らかとなった。河野談話は歴史的真実に基づき、直ちに否定されなければならない。また、学校教科書の慰安婦の記述の見直しはどうなるのか」と指摘しました。
これに対し安倍総理大臣は、「菅官房長官も述べているとおり、安倍内閣で見直すことは現在考えておらず、新たな談話の発表も現在考えていない。検定に合格した教科書の慰安婦に関する記述の訂正を求めることは考えていないが、今後の申請図書は、新しい基準に基づき適切に検定が行われるべきだ」と述べました。
みんなの党の浅尾代表は、「みんなの党では、2050年のあるべき日本の社会を皆さんに示すべく議論を重ねている。今を生きる私たちには、この国をよりよくし、未来を生きる世代に受け継いでいく責任があり、国家として目指す方向を示していく必要がある」と述べました。
これに対し安倍総理大臣は、「私が目指すのは、自立の精神を大切にしながら活力とチャンスと優しさに満ちあふれた国、そして、世界に開かれた国だ。今後も、みんなの党の皆さんとも政策を冷静かつ建設的に議論しながら、国家国民のため、ともに結果を出していきたい」と述べました。
共産党の志位委員長は、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画について「抗議する県民を強制排除して名護市辺野古の新基地建設を着工したことに、県民の激しい怒りが噴き出している。県民の意思を一顧だにしない姿勢は民主主義を否定するものだ」と批判しました。
これに対し安倍総理大臣は、「埋め立て申請は昨年末に承認され、法治国家として関係法令にのっとり、すでに判断が示されたものと考えている。普天間基地の一日も早い返還こそが地元の願いであり、法令に従い辺野古移設を着実に進め負担軽減に取り組むことが、民主主義を否定することになるという指摘は当たらない」と述べました。
生活の党の鈴木幹事長は、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定について「閣議決定による憲法解釈の変更に基づいて集団的自衛権を行使し、海外に自衛隊を派遣するならば、もはや憲法は有名無実であることを意味する」と指摘しました。
これに対し安倍総理大臣は、「従来の政府見解における憲法9条の解釈の基本的な論理の枠内で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための合理的な当てはめの帰結を導いたものだ。合理的解釈の限界を超えるような憲法解釈の変更ではなく、憲法をないがしろにするものではない」と述べました。